取締役会議事録の書き方が分からず、悩んでいませんか。取締役会議事録は会社法によって作成・保管が義務付けられている重要書類です。また株主などから閲覧請求があった場合は、対応する必要があります。
今回は取締役会議議事録の法的な位置付けや重要性、正しい書き方や作成のルールについて解説します。また効率的に作成できるツールも紹介します。
本記事を読めば取締役会議議事録を理解できるよう網羅的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
取締役会議事録とは
取締役会議事録とは、株式会社の取締役会における議事の経過および結果を記録した書面または電磁的記録のことを指します。会社法により作成が義務付けられており、会社の意思決定プロセスを明確にする重要な文書です。
ここでは取締役会議事録をより詳しく理解するために、以下の4点について解説します
取締役会議事録の法的位置づけ
取締役会議事録の重要性
取締役会議事録の役割
取締役会議事録の一般的な形式
取締役会議事録の法的位置づけ
取締役会議事録の作成は、会社法第369条第3項により義務付けられています。この規定により、取締役会の議事については法務省令で定める事項を記載した議事録を作成しなければいけません。
参考:e-Gov法令検索「会社法」
また、会社法施行規則第101条では、議事録の記載事項として、以下の内容を求めています。
開催日時・場所
出席した取締役および監査役の名前と総数
出席した会計参与、執行役、会計監査人、株主の名前
議事の内容に利害関係を有する取締役がいる場合その名前
議長の名前
特別取締役による取締役会の場合はその旨
特別の招集にあたる取締役会の場合はその旨
議事の要領および結果
参考:e-Gov法令検索「会社法施行規則」
取締役会議事録は10年間、本店に備え置く必要があります(会社法第371条第2項)。また、株主や債権者からの請求があった場合、会社はいつでも議事録の閲覧や謄写に応じなければなりません(会社法第371条第3項)。
取締役会議事録は会社法上の重要な文書として位置付けられており、適切な作成および管理が求められています。取締役会議事録の法的義務を理解し遵守することは、取締役の責務であると言えます。
取締役会議事録の重要性
取締役会議事録は、会社運営における重要な意思決定の過程と結果を記録する文書であり、極めて重要な役割を果たします。
取締役会議事録を適正に作成することは、経営の透明性を確保するための手段となります。取締役会で討議された内容や決定事項を明確に記録することで、会社の意思決定プロセスを可視化することが可能です。株主や監査役、会計監査人などのステークホルダーが、経営の実態を把握できます。
さらに会社の歴史を記録する文書としても、取締役会議事録は重要な意義を持ちます。会社の重要な意思決定や方針変更、役員の変遷などを議事録から辿ることができるため、会社の発展過程を理解するための貴重な資料となります。
取締役会議事録の役割
取締役会議事録は、会社運営における重要な意思決定の過程と結果を記録する文書です。取締役会で行われた議論や決議内容を明確に残すことで様々な役割を果たします。
第一に、議事録は取締役の職務執行状況を明らかにします。各取締役の発言内容や決議への賛否が記載されるため、個々の取締役の責任を確認することが可能です。これは、取締役の義務違反や違法行為が問題となった場合に、重要な証拠資料となります。
さらに、会社の利益相反取引を適切にコントロールするための手段としても有用です。取締役会の承認を要する利益相反取引については、その内容や当該取締役の氏名を議事録に記載しなければなりません。利益相反取引の透明性が確保され、不正行為の防止につながります。
取締役会議事録の一般的な形式
取締役会議事録の形式は、会社法や定款で定められた事項を満たす必要があります。一般的な議事録の形式は以下のとおりです。
会議の日時と場所
出席した取締役の氏名
議長の氏名
議題
議事の経過の要領とその結果
議事録作成者の署名または記名押印
議事録は書面で作成するか、電磁的記録により作成します。書面の場合は議事録作成者が署名または記名押印を行い、電磁的記録の場合は作成者の電子署名が必要です。
取締役会議事録の書き方
取締役会議事録の作成にあたっては、会社法および会社法施行規則で定められた事項を漏れなく記載する必要があります。ここでは、議事録の必須記載事項と任意記載事項について解説します。
必須記載事項
取締役会議事録には、以下の事項を必ず記載しなければなりません。
任意記載事項
必須記載事項に加えて、以下のような事項を任意で記載することが望ましいとされています。
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取締役会議事録のテンプレート
取締役会議事録の作成を効率化し、必要事項の漏れを防ぐためには、議事録のテンプレートを活用することが有効です。ここでは、取締役会議事録のテンプレート例を紹介します。
テンプレート 会議の日時・場所
開催日:○○○○年○○月○○日
開始時刻:○○時○○分
終了時刻:○○時○○分
場所:○○○○
出席者
取締役:○○○○、○○○○、○○○○
監査役:○○○○
その他の出席者:○○○○(役職:○○○○)
議題
議事内容 議題1:○○○○について
提案内容:○○○○
主な討議内容:
○○○○との意見:○○○○
○○○○との意見:○○○○
決議結果:
賛成:○○○○、○○○○、○○○○
反対:なし
決議事項:○○○○を承認する
(議題2以降も同様の形式で記載)
特別利害関係取締役
閉会
議事録作成者
署名または記名押印欄
取締役:○○○○ 印
取締役:○○○○ 印
取締役:○○○○ 印
取締役会議事録の作成ルールと期限
取締役会議事録は、会社法により作成が義務付けられており、一定のルールに従って適時に作成する必要があります。ここでは、以下の3つについて解説します。
作成義務と作成者の責任
作成期限と保存期間
2保管方法と閲覧請求への対応
会社法第369条第3項により、取締役会の議事について法務省令で定める事項を記載した議事録を作成しなければなりません。この作成義務は、取締役会に出席した取締役が負うものとされています。議事録作成取締役は、議事の経過および結果を正確に記録し、必要事項を漏れなく記載する責任を負います。
取締役会議事録の作成は、単なる事務作業ではなく、法律上の重要な義務であることを認識しなければいけません。議事録の作成義務を怠ったり虚偽の記載をしたりすると、損害賠償や過料の責任を問われる可能性があることを覚えておきましょう。
取締役会議事録は、取締役会の開催後、遅滞なく作成しましょう。具体的な作成期限は法律で定められていませんが、できるだけ早期に作成することが望ましいとされています。
議事録の内容が取締役の記憶に残っているうちに作成することで、正確性を確保できます。また迅速な議事録作成は経営の透明性を高め、株主や監査役等による監査・監督機能の実効性を担保する上でも重要です。
作成された取締役会議事録は10年間、本店に備え置かなければなりません(会社法第371条第2項)。この保存期間は会社の重要な意思決定の記録を一定期間保管し、必要に応じて参照できるようにするための規定です。
参考:e-Gov法令検索「会社法」
取締役会議事録は本店に備え置き、取締役および監査役が常時閲覧できる状態にしておく必要があります。また株主および会社債権者から閲覧謄写請求があった場合、会社法第371条第3項により会社はこれに応じなければなりません。閲覧謄写請求があった場合、以下の点に留意が必要です。
なお取締役会議事録の閲覧謄写請求に関する詳細な手続きは、会社の定款や関連規程で定めておくことが望ましいでしょう。
取締役会議事録の電子化と押印・署名のポイント
近年、取締役会議事録の電子化が進んでいます。電子化により、議事録の作成、保管、閲覧がより便利になる一方で、電子化特有のルールや押印・署名の方法についても理解が必要です。ここでは、以下の4つについて解説します。
電子議事録の作成と保管のルール
押印と電子署名の義務と方法
押印の省略が認められるケース
電子署名の要件と実務対応
取締役会議事録は会社法第371条第1項により、書面だけでなく電磁的記録による作成も認められています。電磁的記録とは、電子的方式、磁気的方式などの方法で作成される記録で、電子計算機による情報処理の用に供されるものを指します。
電子議事録を作成する場合、以下の点に留意が必要です。
1.改ざん防止措置の実施
2.必要事項の記載
3.閲覧請求への対応
電子議事録は、書面の議事録と同様に、10年間の保存義務があります。電磁的記録の状態で保存する場合、記録の保存方法や紛失・破損防止のための措置を適切に講じなければなりません。
取締役会議事録には、出席した取締役の署名または記名押印が必要です(会社法第369条第4項)。電子議事録の場合、電子署名を行うことで要件を満たせます。
電子署名を行う際は、以下の点に注意が必要です。
1.電子署名の要件
2.電子証明書の利用
3.タイムスタンプの付与
電子署名を適切に行うことで、書面の議事録に押印する場合と同等の法的効力を確保できます。ただし、電子署名の要件を満たさない署名は、法的効力が認められない可能性があるため、注意が必要です。
取締役会議事録には、出席した取締役の署名または記名押印が必要とされています。ただし一定の条件を満たす場合は、押印の省略が認められています。
1.電子署名による押印の省略
2.定款で定めることによる押印の省略
3.取締役会の決議による押印の省略
ただし押印を省略する場合でも、議事録の真実性や信頼性を担保するための措置を講じる必要があります。
電子署名を取締役会議事録に利用する場合、電子署名法第2条第1項に定められた要件を満たす必要があります。具体的には、以下の2つの要件を満たす電子署名でなければなりません。
当該電子署名に係る電磁的記録に関して行われたこと
当該電子署名をした者の作成に係るものであること
これらの要件を満たすためには、以下のような実務対応が必要です。
1.電子証明書の利用
2.タイムスタンプの付与
3.適切な電子署名ソフトウェアの使用
4.社内規程の整備
電子署名の要件を満たさない署名は、法的効力が認められない可能性があるため、十分な注意が必要です。電子署名の導入にあたっては、法的要件や実務上の留意点を十分に理解し、適切な体制を構築することが重要です。
取締役会議事録の未作成・不備のリスクと罰則
取締役会議事録は、会社法により作成が義務付けられている重要な文書です。議事録の未作成や不備は、法的責任を問われるリスクがあります。ここでは、議事録未作成の場合の責任と、虚偽記載や不備のある議事録のリスクについて解説します。
議事録未作成の場合の責任
取締役会議事録の作成は、取締役の善管注意義務の一部を構成するとされています。議事録を作成しなかった場合、以下のような責任を問われる可能性があります。
1.会社に対する損害賠償責任(会社法第423条)
2.第三者に対する損害賠償責任(会社法第429条)
3.過料(会社法第976条)
取締役会議事録の作成は単なる事務作業ではなく、取締役の重要な法的義務の一つです。
虚偽記載や不備のある議事録のリスク
取締役会議事録に虚偽の記載があったり、必要な事項の記載が不十分であったりした場合にも、法的責任を問われるリスクがあります。未作成の場合と同じように会社及び第三者に対する損害賠償責任のほか、刑事責任に問われる可能性がありますので覚えておきましょう。
刑事責任(刑法第157条)
虚偽記載や不備のある議事録は、会社の意思決定プロセスを歪め、ステークホルダーの信頼を損ねるリスクがあります。議事録の作成にあたっては、正確性と完全性を確保することが極めて重要です。
参考記事 Nottaで取締役会議事録を作成しよう
取締役会議事録の作成は会社法上の義務であり、適切に行わなければいけません。しかし議事録の作成は手間がかかり、手作業では誤りが生じてしまう可能性もあります。
そこで取締役会議事録の作成を効率化するためのツールとして「Notta(ノッタ)」を紹介します。NottaはAIで議事録を作成できる自動文字起こしサービスで「役員会」テンプレートを使えば、簡単に取締役会議事録を作成できます。
テンプレートには以下の項目が含まれており、必要な事項をもれなく記録しておくことが可能です。
会議名
日時・場所
出席者
議題
議題調整
報告
決定事項
クロージング
具体的な使い方は以下のとおりです。
録音したデータを開き「テンプレート管理」をクリック
左側のメニューから「役員会」を選択し「このテンプレートを使用」をクリック
自動で議事録が作成されます
Nottaを活用することで取締役会議事録の作成と管理を効率化し、コンプライアンスの強化につなげることができるでしょう。議事録作成の負担を軽減しつつ、正確かつ迅速な議事録管理を実現するために、Nottaの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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まとめ:取締役会議事録の重要性と作成のコツ
今回は取締役会議議事録について解説しました。取締役会議事録を適切に作成するためのポイントは以下のとおりです。
法令や定款で定められた必要事項を漏れなく記載する
議事の経過や決議事項を明確かつ具体的に記述する
特別利害関係取締役の氏名を記載し、議決に加わらなかったことを明示する
取締役全員の署名または記名押印を得る(電子署名の場合は要件を満たす)
適切な方法で議事録を保管し、閲覧請求に対応できる体制を整える
取締役会議事録は、会社法により作成が義務付けられた重要な文書です。議事録は、取締役会の意思決定プロセスを記録し、経営の透明性を確保する役割を果たします。
適切な議事録の作成は、取締役の善管注意義務の履行を裏付ける証拠にもなります。一方、議事録の未作成や不備は、法的責任を問われるリスクがあるため、十分な注意が必要です。
さらに、議事録作成の効率化と正確性の向上のために、Nottaなどのデジタルツールの活用も有効です。気になる方はNotta公式ホームページから試してみてください。
議事録は文字起こしツールを使って効率的に作成しよう!
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