DX具体事例

16のDX具体事例から学ぶ!DXの戦略と推進のポイント

業務の自動化を図りたいものの、何から手を付ければ良いのか分からない企業も多いのではないでしょうか。経済産業省がDXのレポートを出してから早3年が経過していますが、未だ推進率は伸び縮みしているのが現状です。では、実際に業務自動化を図るためにはどのようなものを検討する必要があるのかについてDXの意味を含めて解説していきます。今後の参考資料の一つとして役立ててください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の意味 

DXの意味

そもそもDXとはデジタルトランスフォーメーションの略であり、スウェーデン在住のウメオ大学教授エリック・ストルターマン氏が提唱した概念のことです。もっと簡単に説明すると、「デジタル技術による変革」を指し、生活やビジネスを変えていくことを意味しています。

紹介

2018年9月、経済産業省が発表したDXのレポートでは、DXを次のように定義しています。

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内 部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラ ットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソ ーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデ ルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図る ことで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること
引用:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~/デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会

定義の内容を細かく説明すると、デジタル技術を駆使した新たなビジネスモデル・商品・サービスがDXの基礎とは言えないことがくみ取れます。世の中の変化を受け止め、デジタル技術を用いて対応しながらも、企業文化、風土などの基礎を変えることが、生き残るために必要であると示しています。 

DX推進には、どのような人材が必要?

では、DX推進を図るためにはどのような人材が必要になるのでしょうか。具体的にはITやテクノロジーに精通する人材、ビジネス的な視点を持ち合わせる人材が必要であると考えられます。DXはITやテクノロジーを有効活用しながら、新たな顧客ニーズを掘り起こすことも大切です。そのため、この2つの人材をアサインすることが欠かせないのです。

DX推進でよく導入されるツール

DX推進で導入される主なツールとしては、業務プロセスをシステム化させ、業務効率化、新たな価値を作り上げるためのツールが必要不可欠です。そのなかでも特に重視したいのが、

  • 情報の管理

  • 業務効率化

  • データ活用

の3つです。情報を管理できるようになれば、業務効率化の実現が可能になり、データ活用を簡単に行うことができます。 

デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【IT業】

IT業

ここでは、国内外の企業のなかでもDXに成功した業種別事例についてご紹介します。これから自社でDX推進を図りたい方は、しっかりとチェックしておきましょう。

メルカリ

メルカリのDXには匿名のままアプリで商品売買の仕組みを作り上げたことが挙げられます。くわえて、メルペイと呼ばれるスマホ決済の提供により、売上金の活用幅を広げたことインターネット売買のハードルを下げたことも挙げられます。

NEC

NECのDXには、世界トップクラスの生体認証技術を活かした取り組みが挙げられます。また、世界中で新型コロナウイルス感染症の猛威が襲い、緊急事態宣言が発令された後も、6満員以上の社員がテレワーク業務へと切り替え、テレワーク率85%を実現しました。

富士通

富士通のDXには、顧客と従業員の声を分析し、効率的なインサイト獲得を目指したVOICEプログラムが挙げられます。また、製造業・生産業にも共通するDX実現に欠かせないインフラやツールをクラウド上に設計し、新会社として「株式会社DUCNET」を設立しました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【小売業】

小売業

次にDX成功事例として小売業を見ていきましょう。

株式会社セブン&アイ・ホールディングス

株式会社セブン&アイ・ホールディングスでは、2020年4月にグループ戦略本部を発足し、「DXプラットフォーム」の構築、デジタル人材の採用・育成を強化する取り組みを実施しました。また、各事業内のECビジネスへの配送効率最適化を図るため、「ラストワンマイルDXプラットフォーム」の構築も進行中です。

株式会社ローソン

株式会社ローソンでは、2020年9月より次世代型コンビニエンスストア実験店をオープンしました。その概要としては、遠隔操作ロボットを使った品出しが中心です。これまで店舗に行くことができなかった品だし作業が在宅中でも可能になったのです。複数店舗の品出しを行うことが可能なため、人員の削減にもつながりました。

三越伊勢丹

三越伊勢丹のDXには、従来からの百貨店としての課題でもあった「商品データベース管理」のための、商品撮影スタジオにて全商品をECでも地域展でも購入できるシステムを確立しました。オペレーションにはチャットなどを活用したパーソナルスタイリングを導入し、新たな顧客体験にもチャレンジしています。

オルビス

オルビスのDXには2021年12月から「ORBISアプリ」の提供を開始したことが挙げられます。アプリ概要としては、アプリ内でAIによるパーソナル分析を可能にし、パーソナルカラーや似合う眉、コスメの提案を行えるようになりました。自分の顔写真を撮影するだけで5年後、10年後などの肌のシミュレーションを行い、一人一人に合わせたアドバイスを可能にしました。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【製造業】

製造業

次にDXに成功した製造業について見ていきましょう。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社のDXでは、これまで使用していたオンプレ基幹システムとクラウド型CRMのsalefoceを連携させ、顧客情報の一元管理を実現しました。また、クラウドが持つ柔軟性や互換性を活かし、オンプレミス/クラウドの分別なく。データ活用できる仕組み化を販売会社ごとに整備したことも挙げられます。

三菱電機株式会社

三菱電機株式会社のDXにおいては、製造業向けに蓄積された自動化に関するノウハウなどを活かし、機器それぞれをネットワークでつなぎ、取り入れたデータの分析・活用を実現しました。その結果、工場を最適化しスマート工場の実現を実施しました。

川崎重工業株式会社

川崎重工株式会社のDXでは、製品統計に用いる全ての端末を薄型・軽量のモバイルワークステーションに統一しました。その結果、エンジニアの機動力が向上し、造形設計・生産技術・各部門での意思疎通を迅速に行えるようになりました。また、高性能ワークステーションを携えたエンジニアの出張も実現可能にしました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【物流業】

物流業

 

次にDXに成功した物流業を見ていきましょう。

 日本郵便

物流業界の大手とも言える日本郵便。同社では働き手の減少や社員一人一人の負担増加が懸念されていました。山間部といった地域に配達する配達員の負担は著しく、これを解決するための政策が必要でした。

そこで試験的に導入したのがドローン活用です。その結果、郵便局から山間部内にある個人宅への配達を可能にしました。これまでは20分以上掛かっていた配達も、ドローンの活用によって10分程度で配達が完了するようになったのです。働き手が不足する現代において目まぐるしい業務効率化と言えるでしょう。

株式会社日立物流

株式会社日立物流では、DX推進政策としてloTテクノロジーを駆使し、輸送業者の業務効率化、事故ゼロ化を支援するサービスプラットフォームを開発。SSCV(Smart & Safety Connected Vehicle)と呼ばれるプラットフォームでは、輸送事業に関わる情報をデジタル化・提供します。その結果、ドライバーの事故などを未然に防いだり、安全管理を徹底することが可能になりました。また、車両管理・整備実績のデジタル化によって、車両稼働率の向上、管理工数の削減などを支援しています。

 東日本旅客鉄道株式会社

東日本旅客鉄道株式会社のDXには、顧客が移動するための検索・手配・決済をまとめて1箇所で完結させる「モビリティ・リンケージ・プラットフォーム」の構築を進行中です。「IR東日本アプリ」を活用することで、列車の遅延を加味した「リアルタイム経路検索」や、「リアルタイム列車混雑状況」の実現を目指しています。また、2020年3月にはJR北海道、JR西日本と合わせて各新幹線でのチケットレスサービスも開始しました。

 

デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【建設業】

建設業

次に建築業におけるDX成功事例を見ていきましょう。

鹿島建設株式会社

鹿島建設株式会社のDX推進に向けた取り組みとしては、経営幹部を含めたグループ全体のデジタルリテラシーの引き上げを実施しました。さらに鹿島建設のXを通じて、「ヒト中心の持続可能な街作り」を目指しているとも言われています。

大成建設株式会社

大成建設株式会社はDX認定取得事業者、国土交通省中部地方整備局が主催する「中部DX大賞」も受賞するなど建設DX成功事例として多くの企業から注目されています。大成建設株式会社はSoftBankとの協力のもと、さまざまな実証実験を行っています。たとえば、5G通信による建設機械の無人化施工の実証実験では、大成建設株式会社が開発した遠隔操作と自律制御が可能になった「T-iROBO」と呼ばれるロボットシステムを導入。5Gによる超高速通信を持って、遠隔操作と自律制御のための信号伝送を実施しました。

デジタルトランスフォーメーション(DX)業種別事例【化学業】

化学業

次に化学業におけるDX成功例を見ていきましょう。

旭化成株式会社

旭化成株式会社のDXではAIを活用した製品検査自動化・設備以上の予兆探知・loTツールによる生産効率・収率をアップさせています。ほかにも、医薬品や生鮮食品の物流に置けるブロックチェーンの活用、着用型自動除細動器を使用する患者の遠隔モニタリングなど、真新しいビジネスモデルの創出も実施しています。

 

まとめ 

まとめ 

DXと一口に言っても、職種や形態によってさまざまなアプローチ方法があることが理解できたのではないでしょうか。そのため、簡単に進めていくことはできないことが分かったかと思います。

しかし、DX成功事例をもとに考えていくと、自社にはどんなアプローチができるのかを検討することが大切であることが分かります。あらゆるビジネスモデルから根本的な変革を求めるDXでは、長期的な戦略を実施できる体制の準備が必要です。他社の成功事例をもとに、ぜひDX化を検討・成功させてください。

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