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デプスインタビューとは、対象者の考えを深く掘り下げるインタビュー手法のことです。
デプスインタビューって何?
他のインタビュー法と何が違うの?
デプスインタビューを成功させるコツは?
あまりインタビューをしたことがない人は、こんな悩みをお持ちではありませんか?
今回は、デプスインタビューの概要や他のインタビュー手法との違い、具体的な進め方などを紹介します。
デプスインタビューをしたことがない初心者の方でも、具体的な流れがイメージできるように詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
デプスインタビュー以外にも、グループインタビューやエスノグラフィーというインタビュー手法も用いられます。各手法の違いを解説します。
グループインタビューとは、複数のインタビュイーを対象に同時にインタビューを行う手法のことです。インタビュイーとは、インタビューを受ける人のことです。
モデレーターとインタビュイー全員が一堂に会し、インタビュイー全員に共通点があるテーマに沿って話をする形式で、インタビューを進めていきます。モデレーターとは、ディスカッションの進行役で、話の流れをコントロールする人のことです。
モデレーターが質問を投げかけたあとは、自由に発言してもらう形式が一般的です。1対1の形式とは違い複数人を相手に話を聞くため、多数の意見を収集する際に有効な手法です。
例えば、消費者のニーズや意見、グループのイメージなどについての意見を求める場合などに使用されます。話をしていくうちにグループ内の会話が弾み、さまざまな意見を聞ける点が特徴です。
しかし人数が多い分、進行役を適切に配置し会話をすすめる必要があります。全体的な傾向や意見を把握するのには向いていますが、ひとつのテーマに関して深掘りするなどといったことは、人数や時間の制限上あまり向いていません。
あまり人には聞かれたくないデリケートなテーマ、個人の病気に関することやお金に関することには、別の手法を用いるのが一般的です。
エスノグラフィーは、ある文化やコミュニティの人々の生活や習慣を理解するための方法です。インタビューというよりは、テレビ番組などでよくある密着取材の方がイメージしやすいかもしれません。エスノグラフィーでは、コミュニティに入り込んで生活に触れたり対象者と話をしたりすることで、大切にしていることやどんな習慣があるのかを観察します。
例えば、インタビュアーが日本の学校での生活を調べたいとします。まず学校に行って生徒たちの様子を観察し、授業や休み時間にどんなことをしているのかを見たり、先生や生徒と話をしたりします。直接観察することで、生徒たちが教室の掃除をしたり給食を自分たちで配ったりしていることを知り、習慣を理解することが可能です。
エスノグラフィーを実施している時は、インタビュアーの時間や場所を拘束してしまいます。インタビューを受ける側も日常生活に第三者が介在することになるため、ストレスを受ける可能性もありますので注意が必要です。
デプスインタビューのメリットとデメリットを解説します。メリットとデメリットを理解し、適切な手法を選択できるようにしましょう。
インタビュイーに詳細を聞けるため、深堀りした情報を集めやすい
インタビュイーが自由に発言できるため、思いがけない意見や考えを聞ける
インタビュイーの意思決定に至るまでの過程を知ることができる
大勢には聞かれたくないセンシティブなテーマでも、踏み込んだ質問をしやすい
インタビュイーの本音を聞き出すことができる
インタビュイーに対して、ジャンルを問わず多くの詳細な情報や意見を聞くことができる点がメリットです。インタビュアーのスキル次第では、非常に有益な情報を得られます。
1対1で行うため、対象者が増えると時間がかかり費用もかさんでしまう
インタビュイーが特定の見解を持っている場合など、データが偏ってしまう可能性がある
インタビュアーのスキルにより取得できる情報に差が出てしまう可能性がある
デプスインタビューは一人ひとりに対して時間をかけて行うため、費用も労力も必要です。インタビュアーのスキルやインタビュイーの見識により、情報の粒度が粗くなったり偏った見解を話したりしてしまうこともあるため、注意が必要です。
デプスインタビューは入念な準備が必要で、インタビューが終わったあとも分析に多くの時間がかかることが一般的です。事前にしっかりとスケジュールを立てておくことをおすすめします。
インタビューを行うときの目的を明確にし、達成するための課題や仮説を抽出します。目的や課題が定まっていないと、質問内容があやふやになったり、本来の目的とはずれた内容になってしまったりします。
目的:なぜ調査を行うのか 例.商品A(食べ物)が人気の理由を調査したい
課題:何を調査する必要があるのか 例.作り方、材料、販促方法、作り手の想い
目的や課題を明確にすることで、デプスインタビューを行う際の軸を定められます。「どのようなことを聞けばよいか」「どのような人に聞けばよいか」などを、軸を基点としてインタビュー内容を決めましょう。
目的や課題を定めた上で、インタビュイーとなる人物を選定します。デプスインタビューは1対1の形式であるため、対象者により話しやすさの違いがあったり、情報量に差が生じたりします。
考慮すべき点
目的に関する情報を網羅している人物であるかどうか 例.商品Aの開発を担った人
積極的に話せる人であるかどうか 例.人前で話すのに慣れている人
自身を振り返り、行動や思考を分析できるかどうか 例.内省、自己分析ができる人
時には対象者を選定するために、スクリーニングをかける必要があります。その際は、事前に選定基準が伝わらないように注意しましょう。
デプスインタビューは1対1で行うため、インタビュイーにとっても負荷を与えてしまいます。相手の時間や労力をいただいた上で情報もいただくため、謝礼の準備を忘れてはいけません。一般的には60分で5,000円~10,000円前後の謝礼が目安です。対象者が研究者などの専門職の場合や、管理職のように職位が高い人である場合は、より高額になる可能性もあります。
インタビューフローとは、インタビューの際に「どのような質問をするか」「質問の順番はどうするか」「時間配分をどう分けるか」などをあらかじめ書き上げた、シナリオのような構成案です。
質問内容を詰め込み、ただ深掘りしていくのは印象がよくありません。フローを作成する際はインタビュイーの視点に立ち、どのような情報を聞き出したいのかを精査することが大事です。
精査すべき点
目的、課題を解決するために適切な質問をしているか
インタビュイーの言葉から、深掘りして深層心理を解き明かす質問を用意しているか
質問の内容から、バイアスをかけてしまわないように配慮しているか
フロー通りに質問が進まなくても、臨機応変に順序を変えるような対応が可能か
良質なインタビューを行うためには、インタビュー内容に関する知識をインタビュアーが持っていることが望ましいです。
例えば商品Aの発売日や値段、材料など、自身で調査すれば収集可能な情報は、わざわざインタビュー時に聞く必要はありません。
インタビュアーの理解度が高ければ高いほど、専門的な質問を投げかけることができます。対象者に対する印象もアップしますので、調べてわかる範囲の情報は網羅しておくことをおすすめします。
サンプル数はテーマや予算により異なりますが、10名前後を目安とするのが一般的です。デプスインタビューは1対1で行うため、時間もかかり大きな負荷がかかります。
効率よく行うために、土日などを利用し集中して行うなど、スケジュールをしっかり組んでおきましょう。インタビューの目的を忘れずに、作成したフローを参考にしてインタビューを進めましょう。
インタビュー時にメモを取ったり、録音や録画など、さまざまなデバイスでインタビュー内容を記録します。レポートを作成する前に、記録した内容を一度文章に起こすことでインタビューの内容を振り返ることができます。
文字起こしが面倒という人も少なくありませんが、慣れていない人ほど文字起こしをしましょう。インタビュー全体の流れを再確認できますので、分かりやすいレポート作成ができるようになります。
文字起こしに時間をかけたくない人は、こちらの記事がおすすめです。
参考:文字起こしの効率的なやり方は?劇的に時短する3つのポイントを紹介
デプスインタビューは他の定性調査と比較しても得られる情報量が多く、それだけ分析に時間を要します。作成に要する時間も加味した上で、報告を行う日程を決定しましょう。スケジュールどおり進められるように、細かい作業ごとに期日を決めるのもおすすめです。
作成したレポートで報告をします。報告の際は、聴衆側から感想や意見、フィードバックをもらえるような体制を整えておきましょう。フィードバックをもとに、今回のインタビューにおいて欠けていた点などを洗い出し、次回のインタビュー時に反映させていくことが大事です。
デプスインタビューにおいて、インタビュイーの信頼を獲得して本音を話しやすくするコツをいくつかご紹介します。
インタビューでは相手に信頼してもらい、目的に対して気持ちよく話してもらうことが重要です。そのために大事なのは、事前に目的に対する知識を網羅していることを相手に示せるかです。
自分で調査してわかる範囲の情報は網羅した上で、聞くべき内容を精査するために、インタビューフローを作り込みましょう。話がズレたときも無理に修正せずに、自然な流れでインタビュイーの考えを引き出すことが重要です。
主役はインタビュイーです。聞き手側であるインタビュアーが話しすぎたり、質問を投げかけすぎて答えを誘導してしまわないように注意しましょう。多くのことを語ってもらうために、聞き手に回り上手に本音を引き出せるような努力をしましょう。
話をよく聞き、共感できることは共感するよう心がけましょう。相手の発言や行動の背景にある「理由」を理解することが、共感につながります。共感していることを相手に伝えることで、よりよい信頼関係を築いていけるでしょう。相づちのタイミングや頻度など、細かい部分にも気を配ることが重要です。
聞き上手になり共感をしていくことで、インタビュイーからさまざまな意見や本音を引き出せるようになります。話の内容や反応をよく観察し、適切な質問を投げかけていくことを心掛けましょう。
もし想定してた流れから外れても、無理に修正する必要はありません。大切なのは予定どおり話をすることではなく、インタビュイーの考えを引き出すことです。インタビュイーが気持ちよく話せる環境づくりを重視しましょう。
デプスインタビューでは、終始一貫して誠実な態度でいることが大事です。主役はインタビュイーです。誠実にアプローチを行うことで、インタビュイーから信頼を勝ち取ることができるでしょう。
デプスインタビューは、目的に応じて情報を深く掘り下げて調査するのに適した手法であり、「言葉を聞いて調査」することで、相手の行動や気持ちを記録・分析します。
上手に進めるためには、目的や課題をはっきりさせた上で、入念な準備をしましょう。インタビュー当日は決して主役になろうとせず、インタビュイーの話に耳を傾けます。相手の話に共感を示し、気持ちよく話せる環境づくりに努めてください。
インタビュー後は文字起こしをしてレポートにまとめます。文字起こしを効率的に行いたい場合は、自動文字起こしサービス「Notta」などのツールを使うことも検討しましょう。
Notta公式ホームページから無料で始められますので、ぜひ試してみて効率的なデプスインタビューができるようにしてください。