業界トップの正確率で作業効率爆上げ!
OODAとは、「Observe (観察)、Orient (状況判断)、 Decide(意思決定)、Act (行動)」の略語で、目標を達成するための要素を4段階に分けたフレームワークです。
顧客・市場・競合他社・社内環境などのさまざまな情報から現状を分析し、ある目標を達成するための計画と実行に取り組む流れになります。
OODAを意識した戦略は自社や競合の利点・欠点を知るきっかけにもなるため、近年マーケティングとして採用する企業が増えてきています。
OODAよりも先に、ビジネスにおいて目標達成のメソッドとしてよく用いられているのがPDCAです。
PDCAとは、「Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Action(改善)」の略語で、業務管理における継続的な改善をしやすくするためのフレームワークです。
ビジネスの現場では、実効性に優れた方法論の1つとして活用されてきました。
ではPDCAとOODA違いは、どこにあるのでしょうか。
ここではそれぞれの違いについて解説します。
PDCAは「Plan→Do→Check→Act」の順番でサイクルを回していきます。
基本的に、一方向のサイクルとして進めるため、「Do←Check」のように戻る動きはありません。そのため、変化に対して臨機応変に対応しにくいというデメリットがあります。
一方のOODAはObsereveを軸にフィードバックを行うというループ構造が基本です。
Decide→Obsereve→Action→Obsereveのように、必ずしも一方向に進む必要はなく、状況の変化に応じて逆戻りできるというメリットがあります。
そのため、PDCAサイクルに比べて、OODAループは自由度が高いメソッドだといえるでしょう。
PDCAに比べて、OODAは機動性に優れたメソッドであるという点がポイントです。
PDCAでは、Planが起点となり、進行中の管理・監視が最重要視されるため、それまでのプロセスが重要視されます。
一方、OODAは観察や状況判断に重点を置いています。
またスピードを前提にしているため、柔軟な判断や迅速な実行が最優先です。
それだけに現場、つまり市場や顧客ニーズに対する適合性に重きを置いているフレームワークと言えます。
PDCAは「計画してから行動する」のに対し、OODAループは「状況判断しながらとりあえずやってみる」という「やり方」の部分に違いがあります。
たとえば、変化の少ない市場の既存商品やサービスの販売数などを上げたい場合はPDCAが有効です。「商品・サービスの売上を前年比で〇〇%アップさせたい」という計画に基づき、実行・結果を評価します。最後に当初の計画と乖離があれば改善案を考えます。
一方、新規事業や新商品・サービスを開発する場合は、OODAが有効です。
今日までの常識をもとに計画を立てたとしても、現状の市場ニーズに適合していないなどでPDCAがうまく機能しないケースがあるからです。
ここでは、OODAループの各ステップの特徴・流れについて解説します。ぜひ参考にしてみてください。
まずは顧客や市場、競合他社、社内環境などの対象を観察・調査することから始めます。
【具体例】
新発売の「レモンチョコレート」は、本日100個売れた。
しかし、先月の新商品「アーモンドチョコレート」は、1日平均で500個売れていた。
次に観察から得られた情報の分析を進め、状況を整理しましょう。
ポイントは、顧客・市場・競合他社・社内環境などの対象を観察・調査によって得られたデータを統合して分析し、仮説を構築することです。
【具体例】
「レモンチョコレート」というワードに、あまり求心力や馴染みがないため、売れ悩んでいるのかもしれない。
次に状況判断から導き出された改善点を行動に移すための計画を立てましょう。
【具体例】
味には自信があるため、パッケージデザインを変えることで状況を見てみよう。
↓
・パッケージデザインを変えるために関係者に連絡を入れる
・デザイン変更に関する打ち合わせを計画
最後に、意思決定のステップで決めた行動を実施しましょう。
【具体例】
味は変更せず、パッケージデザインを変更する。
OODAループは1回転目で確実に成功させようとは考えず、複数回行うことを前提にして実施してみましょう。
1回転目で期待通りの結果にならなかったとしても、新たな仮説を構築する材料を手に入れたとポジティブに捉え、2回転目を回すことがポイントです。
ここでは、OODAループのメリットについて3点解説します。
OODAループを活用すれば、状況に応じて「短時間かつ効率的に」スピーディな判断ができるようになります。
またOODAループの仕組みをうまく回せるようになると、従業員が個人の判断で臨機応変に対応できる個人スキルの向上にもつながりやすいです。
OODAループはスピード重視のフレームワークなので、その場の状況に合わせて、スピーディに行動を起こし、結果が出るまで繰り返し検証を進められる点が特徴的です。
常に現場の判断で行動をおこせるため、物事の意思決定がスムーズにでき、今後の行動指針を決めるのに役立てやすいというメリットがあります。
OODAループを行う際は、基本的に会社の上層部の指示や判断を待たずに、現場の判断で行動してよいため、個人が主体的に行動しやすいという点が大きなメリットです。
また個人が主体的に行動する機会が多いという観点から、人材の育成にもつながりやすいというメリットもあります。
ここでは、OODAループのデメリットについて2点解説します。
OODAループは、現場の従業員同士で連携が取れていないと、人によって方針や考えがバラバラになる恐れがあります。
連携が取れていないチームが闇雲に行動すると大きな失敗につながりかねません。
個人が主体的に臨機応変に対応するといっても、現場のリーダー的存在が現状を整理し、上層部への定期報告は欠かさず行うよう心がけましょう。
OODAループは行動までのスピードを大切にするため、思い付きのアイデアで行動してしまう危険性があります。
判断が適切でないと施策が無駄になり、成果が出にくいという懸念があるため、定期的に振り返るよう心がけましょう。
ここでは、OODAループに取り組むときのポイントについて3点解説します。
OODAループを実施する際は、大枠の目的・方向性を共有しておきながら、定期的に進む方向を正すリーダーが必要です。
それぞれの個人が臨機応変に行動するため、情報収集や分析、計画から実行までの流れを何度も繰り返す必要があります。そのため、取り組みを放置せずに現場を管理できるリーダーを用意しましょう。
OODAループとは何かを理解してもらうために、社内で研修の機会を設けることもポイントです。
研修では、OODAループの概要や目的、方針、採用理由などについてきちんと教育しましょう。
OODAループを採用する際は、チームや組織で定期的な情報共有を行うことを意識しましょう。
所属する部署だけでなく、他部署にも共有することで、業務改善に役立つアイデアをシェアできます。
特にOODAループの目的やゴールをメンバー間で明確にしておきましょう。
個人が闇雲に動くのではなく、先を見据えた行動ができるようになります。
今回はOODAループについて知りたい方や、今後OODAループの概念をビジネスに取り入れようと検討している方に向けて、「OODAループ」の概要や特徴、メリット・デメリット、取り組みポイント、PDCAサイクルとの違いなどについて詳しく解説しました。
OODAループは、PDCAと比べて現状への即応性に優れ、変化の早い昨今の環境において、チャンスを逃さないための重要なフレームワークと言えます。
しかし、あくまでOODAループは意思決定の手段の1つです。
環境によってはPDCAサイクルが有効な場合もあります。
今自分が所属する組織やチーム、環境、状況に合わせて、OODAループ・PDCAサイクルを両方使い分けられるようになっておきましょう。
本記事が少しでも皆様のお役に立てたら幸いです。