現代のビジネス環境において、組織内の知識を効率的に管理・活用することは、競争力を高める上で不可欠です。そこで注目されているのが「ナレッジベース」。ナレッジベースは、組織が持つ知識や情報を集約し、誰もがアクセスしやすい形を提供するシステムです。これにより、従業員は必要な情報を迅速に見つけることができ、業務効率や生産性の向上が期待できます。

今回は「ナレッジベース」に焦点を当て、その概要や活用メリット、活用シーン、作り方、成功させるポイント、活用できるツールなどについて解説します。今後、ナレッジベースの作成・活用を検討している方はぜひご一読ください。

ナレッジベースとは?

ナレッジベースとは、組織や個人が持つ知識や情報を体系的に整理し、蓄積・共有するためのデータベースのことです。業務で得たノウハウや顧客からの質問と回答、技術的な情報など、さまざまな種類の知識が含まれます。

ナレッジベースを活用するメリット

ナレッジベースを活用することで、組織はさまざまなメリットを享受できます。主なメリットとしては、以下の4点です。

1

業務に関する知識を効率的に共有できる

ナレッジベースを作ると必要な情報に素早くアクセスできるため、情報検索にかかる時間を削減できます。よくある質問やトラブルシューティングの手順などをまとめることで、問い合わせの対応時間を短縮できるでしょう。

2

暗黙知を可視化し、引き継ぎをスムーズにする

組織内の知識や情報を一元管理することで、部門間やチーム間の情報共有がスムーズになります。暗黙知を形式知化することで、個人のノウハウを組織全体の財産として活用できるでしょう。

3

社員の成長や業務効率化につながる

新人教育や研修にナレッジベースを活用することで、教育コストを削減できます。ベテラン社員のノウハウを継承し、組織全体のスキルアップにつなげることができるでしょう。また、過去の成功事例やノウハウを共有することで、業務の標準化や効率化の促進にも期待できます。

4

問い合わせ対応やカスタマーサポートを強化できる

顧客からの問い合わせ履歴や対応事例を蓄積することで、顧客ニーズを把握し、サービス改善につなげられます。顧客が自己解決できるFAQやヘルプコンテンツを提供することで、顧客満足度を高めることができるでしょう。

ナレッジベースの活用シーン

ナレッジベースは、主に以下のようなシーンで活用されています。

  • 社内FAQ:社内からの問い合わせ対応を効率化し、従業員の自己解決を促進

  • 顧客向けFAQ:顧客からの問い合わせ対応を効率化し、顧客満足度を向上

  • 顧客管理:顧客に関する情報を共有し、顧客満足度を向上

  • プロジェクト管理:プロジェクトに関する知識やノウハウを共有し、プロジェクトの成功率を高める

  • 業務マニュアル:業務に関する知識や手順を体系的にまとめ、業務の標準化や効率化を図る

  • 研修資料:新人教育や研修などに活用し、人材育成を効率的に行う

ナレッジベースの作り方

ここでは、ナレッジベースの作り方について5つのステップに分けて解説します。ぜひ参考にしてみてください。

1

目的と対象者を明確にする

まず初めに、目的と対象者を明確にしましょう。「なぜナレッジベースを作るのか」「どのような情報を蓄積・共有したいのか」「誰が利用するのか?」「どのような効果を期待するのか」などを明確にすることで、ナレッジベースの方向性を定め、効果的な運用につなげられるでしょう。

2

情報を整理し、ナレッジを分類する

次に既存のドキュメントやデータベース、FAQなどを洗い出し、ナレッジベースに含めるべき情報を特定します。この際、情報をカテゴリーやタグで分類し、検索しやすいように整理することも意識しましょう。

3

ナレッジベースに適したツールを選ぶ

次に、社内Wikiやグループウェア、FAQシステムなど、既存のシステムを活用できないかについて検討します。必要に応じて、ナレッジベースの構築専用のツールを導入するとよいでしょう。

4

ナレッジベースのコンテンツを作成する

情報を整理するためのカテゴリやタグを設計します。検索しやすいように情報の構造化やメタデータの設定を行うだけでなく、情報の更新や管理に関するルールも定めます。

5

継続的な更新・改善を行う

従業員や顧客にナレッジベースの利用方法を周知します。定期的にコンテンツを更新し、情報の鮮度を保ちましょう。利用状況を分析しながら改善点を見つけたり、ユーザーからのフィードバックを積極的に収集したりして、ナレッジベースの改善に役立てると良いです。

ナレッジベースを作る際のポイント

ここでは、ナレッジベースを作る際のポイントについて3点ご紹介します。

1

ユーザー視点の設計と使いやすさ

ナレッジベースの成功ポイントとして重要なのが、ユーザー視点の設計と使いやすさです。

【ポイント】

  • ユーザーが迷わず必要な情報にたどり着けるよう、シンプルなデザインと操作性を心がける

  • キーワード検索やカテゴリ検索、絞り込み検索など、多様な検索方法を提供する

  • スマートフォンやタブレットからも快適に利用できるよう、レスポンシブデザインを採用する

  • 色覚特性を持つ人や、視覚障がいを持つ人にも配慮したデザインにする

  • 図表や画像を活用し、視覚的に分かりやすくする

2

コンテンツの質と管理

コンテンツの質と管理も重要なポイントです。

【ポイント】

  • 信頼性の高い情報源から情報を収集し、定期的に内容を更新する

  • 専門用語を避け、平易な言葉で説明する

  • カテゴリ分けやタグ付けを行い、情報を整理する

  • コンテンツの公開前に、専門家によるレビューと承認プロセスを設ける

  • ユーザーからのフィードバックを積極的に収集し、コンテンツの改善に役立てる

3

継続的な改善と活性化

継続的な改善と活性化も重要なポイントです。

【ポイント】

  • アクセスログや検索キーワードなどを分析し、ユーザーニーズを把握する

  • 情報が古くなっていないか、内容に誤りがないかなどを定期的に確認する

  • ナレッジベースの更新情報や活用事例などを積極的に発信する

  • 研修やイベントなどを通じて、ナレッジベースの利用を促す

  • 積極的にコンテンツを作成・更新するユーザーを評価して報酬を与える

ナレッジベースを活用できるツール

1

Notion|データベース型

Notion

(出典:Notion

概要:

Notionとは、ノートやドキュメント、データベース、タスク管理、プロジェクト管理など、さまざまなツールが統合されたオールインワンツールです。ページのレイアウトやコンテンツを自由自在にカスタマイズでき、さまざまな用途に活用できる柔軟性に魅力があります。テンプレートも豊富に用意されており、目的に合わせて初心者でも簡単に使い始められるでしょう。

機能:

  • 文章作成・要約・リライト

  • FAQ作成・表・ガントチャート作成

  • メール・議事録・ToDoリスト・会議のアジェンダ作成

  • 詩・エッセイなどクリエイティブストーリーの作成

  • アイデア出し・ブレインストーミング

特徴:

  • 高度なデータベース機能を搭載(ナレッジベース)

  • リアルタイムでの編集やコメント機能により、チームでの情報共有やプロジェクト管理がスムーズ

  • 多数のテンプレートが用意されており、用途に合わせたワークスペースを簡単に作成

対応OS:

  • Windows

  • macOS

  • iOS

  • Android

料金:

  • 1,650円/月/1人(メンバー1名につき毎月請求)

2

Zendesk|ヘルプデスク型

Zendesk

(出典:Zendesk

概要:

Zendeskとは、企業が顧客とのコミュニケーションを円滑に行い、優れた顧客体験(CX)を提供するためのクラウド型カスタマーサービスプラットフォームです。その中でも、ナレッジベース機能は、顧客や従業員が自己解決を促進し、サポート効率を向上させるために重要な役割を果たします。

機能:

  • チケット管理システム

  • メール、チャット、電話、メッセージアプリで顧客をサポート

  • 事前構築済みのダッシュボード

  • 1,000以上のアプリとインテグレーション

  • カスタムビジネスルール(トリガと自動化)

特徴:

  • 顧客向けのFAQサイトやヘルプセンター、従業員向けの社内ナレッジベースを構築・公開

  • キーワード検索やカテゴリ検索など、高度な検索機能を提供

  • ルーチンタスクを自動化し、AIチャットボットで顧客からの問い合わせに自動応答

対応OS:

  • Windows

  • macOS

  • iOS

  • Android

料金:

  • $19/月(Basic)

  • $55/月(Suite Team)

  • $89/月(Suite Growth)

  • $115/月(Suite Professional)

  • 要問い合わせ(Suite Enterprise)

3

SharePoint|文書管理システム

SharePoint

(出典:SharePoint

概要:

SharePointは、マイクロソフトが提供する企業向けのコラボレーションおよびドキュメント管理プラットフォームです。組織内の情報共有や共同編集、バージョン管理などドキュメント管理に必要な機能が充実しています。細かいアクセス権限の設定が可能で、機密情報でも安全に管理できるでしょう。

機能:

  • 情報の保存や整理、共有、アクセスを安全に行える

  • 数個のプロンプトとクリック操作だけで簡単に目的のサイトを作成

  • リッチテキストエディター

  • 既存のテンプレート

  • コンテンツ管理機能

特徴:

  • ファイルの共有やバージョン管理、アクセス制御など文書管理に必要な機能を提供

  • Power Automateと連携すれば、承認ワークフローや通知などを自動化

  • WordやExcel、PowerPointなどのMicrosoft 365アプリとシームレスに連携

対応OS:

  • Windows

  • macOS

  • iOS

  • Android

料金:

  • 749円/1ユーザー/月/税抜(SharePoint (Plan 1))

  • 1,874円/1ユーザー/月/税抜(Microsoft 365 Business Standard)

  • 4,497円/1ユーザー/月/税抜(Microsoft 365 Copilot)

※年払い

4

Slack|社内SNS型

Slack

(出典:Slack

概要:

Slackとは、ビジネスコミュニケーションを円滑にするためのクラウドベースビジネスチャットツールです。プロジェクトやチーム、トピックごとにチャンネルを作成し、関連する会話やファイルを整理できます。チームメンバー間のリアルタイムなコミュニケーションやファイル共有、外部ツールとの連携などをサポートします。

機能:

  • チャンネル機能

  • Slackコネクト(外部のパートナーと協働)

  • チームメンバーと会話

  • 音声やビデオでミーティング

  • 検索機能

特徴:

  • ドキュメントや画像、動画など、さまざまなファイルを共有可能

  • 過去の会話やファイルを検索し、ナレッジベースとして活用

  • Google DriveやMicrosoft 365、Zoomなど、さまざまな外部ツールと連携可能

対応OS:

  • Windows

  • macOS

  • iOS

  • Android

料金:

  • 無料(フリー)

  • 525円/1ユーザー/月(プロ)

  • 1,800円/1ユーザー/月(ビジネスプラス)

  • 要相談(Enterprise Grid)

5

Notta Showcase|ナレッジの可視化・自動作成ツール

Notta showcase

(出典:Notta Showcase

概要:

Notta Showcasemとは、動画・音声付きのマニュアルを効率的に作成できるAIツールです。特に、多言語対応と自動文字起こし機能が特徴で、グローバルな研修や多様な受講者に対応したマニュアル作成を強力にサポートします。また、音声データをテキスト化することで、情報共有や検索が容易になり、ナレッジベースの価値を高めることも可能。DOCXやPDF形式で出力できるだけでなく、共有リンクを作成して社内外の同僚や顧客と共有することもできます。

機能:

  • AIでマニュアルを自動作成

  • 簡単に画面録画

  • 動画を15言語に翻訳

  • 自動字幕

  • テキストから音声

  • 動画編集

特徴:

  • 画面録画や動画ファイルのアップロードにより、視覚的に分かりやすいナレッジベースを作成

  • 文字起こしデータの編集や字幕の追加、動画のトリミングなど、ナレッジベース作成に必要な編集作業を効率化

  • 共有リンクの公開範囲や有効期限を設定(機密性の高い情報を安全に共有)

対応OS:

  • Windows

  • macOS

  • iOS

  • Android

料金:

  • 無料プランあり(フリー)

  • 3,150円(税込)/月(プレミアム)

※年間プラン

まとめ:ナレッジベースの作り方をマスターしてその効果を最大化しよう!

今回は「ナレッジベース」に焦点を当て、その概要や活用メリット、活用シーン、作り方、成功させるポイント、活用できるツールなどについて解説しました。

ナレッジベースは、組織の規模や業種に関わらず、知識を有効活用するための重要なツールです。適切なナレッジベースを構築・運用することで、組織全体の生産性向上や競争力強化に貢献するでしょう。本記事を参考に、有効なナレッジベースの作成を検討してみてはいかがでしょうか。

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