半構造化インタビュー

半構造化インタビューを使いこなそう|メリットや注意点、コツなどを紹介

半構造化インタビューは、ビジネス分野で頻繁に活用される分析方法のひとつで、インタビュー形式で質疑応答を行う手法です。

柔軟な質問と対話を通じて、さらに深掘りしたマーケティング調査を行えます。本記事では半構造化インタビューのメリットやデメリット、利用する上での注意点などを解説します。

半構造化インタビューとは

インタビューの準備をしている男

半構造化インタビューとは、事前に作成したガイドに従い質問を行い、インタビュイー(回答者)の回答内容に応じて適宜質問内容を変更・追加しつつ深掘りしていくインタビュー手法です。

マーケティング調査にて行われる定性調査の分析方法のひとつで、構造化インタビューと非構造化インタビューの中間に位置し、それぞれの特徴を併せ持っています。

半構造化インタビューの際、インタビュアーは事前に用意した質問リストを使用して質問を始めますが、インタビュイーの回答に応じて、用意した質問の使用をやめたり、リストにはない新たな質問を適宜加えたりします。

インタビュイーの回答に対して柔軟に対応することで、構造化インタビューよりインタビュイーに寄り添った質問をしやすく、非構造化インタビューより効率的に調査ができる調査手法です。

半構造化インタビューの質問例

半構造化インタビューを用いてどのように深く掘り下げていくか、簡単な質問例を紹介します。

例.構造化インタビューの場合

Q.どのメーカーのパソコンを購入しましたか?

A.Apple社のパソコンを購入しました。

Q.デスクトップとノート、どちらのタイプを選びましたか?

A.ノートパソコンにしました。

構造化インタビューの場合、事前に決めた質問のみを扱います。

例.半構造化インタビューの場合

Q.どのメーカーのパソコンを購入しましたか?

A.Apple社のパソコンを購入しました。

Q.デスクトップとノート、どちらのタイプを選びましたか?

A.ノートパソコンにしました。

Q.ノート型にした理由はなんですか?

A.私は外出先で作業することも多いため、ノートパソコンにしました。

半構造化インタビュー3番目の質問は事前に用意したものではなく、インタビュイーの回答内容に沿ってその場で追加した質問です。

場の状況やインタビュイーの回答に応じて質問を適宜追加・変更していくことで、インタビュイーとの共感を築き、より深堀りした内容を聞くことができます。

半構造化インタビューの分析方法

半構造化インタビューを利用して収集したデータは、主に質的データ分析法を用いて分析します。

以下のような手順で分析を行います。

  1. データの整理

  2. データ分析

  3. 結果報告

まずは収集した録音データやメモをまとめます。録音データは文字起こしを行いテキスト化しておくと、データの体系化がしやすくなります。

データの分析では、ラベル(見出し)をつけて内容を分類し、カテゴリごとの考察や分類したカテゴリ間の関係性などを書き出します。

分析結果は表や図式にまとめるとよいでしょう。

まとめた内容は既定の報告書やプレゼン形式で発表します。

半構造化インタビューのメリットとデメリット

構造化インタビューは事前に用意した質問内容をもとに回答を得るため集計調査が得意であり、非構造化インタビューは質問内容を明確にしないことで、新たな発見を探るのが得意です。

では両者の性質を持つ半構造化インタビューの分析方法を用いた場合、どのようなメリットやデメリットが生じるのか、解説していきます。

半構造化インタビューのメリット

半構造化インタビューを用いた分析方法を活用することで、どのようなメリットを受けられるか紹介します。

半構造化インタビューでは質問内容をある程度決めておくため、インタビュイーの話が多少脱線しても修正がしやすいです。インタビュイーから得たい情報を得られているか把握しやすくいため、会話をスムーズに進めやすいでしょう。

インタビュアーが質問の順序や表現を変更するだけでなく、予定にはない新たな質問をその場で追加していくため、インタビュイーから得られた情報に応じて柔軟に対応していくことができます。

インタビュイーの経験や意見をもとに、更に踏み込んだ質問を随時追加していくことで、話を深掘りしやすいです。回答に応じたフォローアップの質問をしていくことで、新たな知見や視点を発見する手助けとなるでしょう。

半構造化インタビューのデメリット

半構造化インタビューにはデメリットも存在しています。半構造化インタビューを活用する際は以下の点に注意してください。

インタビュアーのコミュニケーションスキルなどが影響してうまく話を展開できなかった、というように半構造化インタビューの結果は、インタビュアーのスキルに大きく左右されてしまいます。

インタビュアーが随時質問内容を考えていくため、質問内容によってはインタビュイーの回答に影響を与えることがあります。ほかにも、インタビュアーの先入観やバイアスが質問内容に影響を与え、回答の分析に影響を与えることもあります。

半構造化インタビューは構造化インタビューよりも質問内容が増え、インタビュアーの技量や労力にも左右されるため時間がかかります。得られた情報をまとめる際にも構造化インタビューより多くの時間を割く必要があります。

半構造化インタビューをする際の注意点と成功させるコツ

半構造化インタビューを成功させるために知っておきたい注意点とコツを解説します。

半構造化インタビューの注意点

半構造化インタビューの分析方法を活用する際の注意点を紹介します。

半構造化インタビューのみならず、インタビューを行う際は事前調査を丁寧に行う必要があります。事前調査を確実に行うことで、インタビューの目的を明確にでき、インタビューをスムーズに進められるでしょう。

半構造化インタビューではその場で質問内容を考えていくことになります。あまり会話が進んでいなければ、新たな質問内容を考える要素が見つからないこともあるでしょう。積極的にコミュニケーションを取ることは、インタビュイーの意見や感情を引き出すきっかけにも繋がります。

聞きたい情報などが明確な場合、インタビュアーの質問が回答や意見に影響してしまうことがあります。例として、以下のようなインタビュー内容を記載します。

(インタビュイーBさんに新規プロジェクトの話を聞いている場面)

A「今回のプロジェクトで大変だった点は何かありますか?」

B「今回のプロジェクトはチームの誰もやったことがない内容だったところです」

A「このプロジェクトはチームにとって非常にストレスがかかるものだと思いませんか?」

この質問内容では「非常にストレスがかかる」という前提を設定していることとなり、インタビュイーは前提をもとにした回答を求められる形となります。

インタビュイーの回答を誘導してしまう質問にならないよう注意が必要です。

半構造化インタビューのコツ

以下に紹介するコツを参考に、丁寧でスムーズな半構造化インタビューができるよう心がけましょう。

インタビュイーが自身の意見や経験を自由に表現できるように、誘導的な質問や二者択一の質問は避けましょう。インタビュー時には「オープンエンド型」の質問と「クローズドエンド型」の質問をうまく使い分けて、インタビュイーが会話をしやすいように質問内容を設定していくことが大切です。

どのようなタイプのインタビューでも同じではありますが、インタビュイーがリラックスして話せる環境を整えておくことも大切です。半構造化インタビューでは踏み込んだ質問を積極的に行うことがあるため、プライバシーが保たれた環境を用意するなどの配慮も必要です。それだけではなく、インタビュイーとの信頼関係を築いておくことも、よい雰囲気の中インタビューを行うためには重要となるでしょう。

インタビュー中は、インタビュイーが回答するまでに時間がかかることがあります。特に自由な回答を求める内容である場合、インタビュイーが考え込む場面に遭遇することも多々あるでしょう。インタビューの主役はインタビュイーです。相手が話し出すまでゆっくり待つのもコツのひとつです。

会話中に静かに耳を傾けるのは大切ですが、一言一句聞き逃さないために聞くことばかりに集中したり、メモを取り続けたりするのはあまり印象がよくありません。お互いが気持ちよく会話を楽しむには、リアクションを取ることも大切です。インタビュアー自身が話を聞いている最中に共感した時や納得した時などに相槌を打つ、合いの手を入れるなどのリアクションをしていきましょう。

構造化インタビュー、非構造化インタビューの違い

半構造化インタビューとよく比較されるのが、構造化インタビューと非構造化インタビューです。それぞれの違いについて解説します。

構造化インタビューでは、事前に質問内容を設定しておき、設定した項目通りに質問を行います。インタビュー時に新たに質問内容を考えることなどは少ないため、比較的時間管理もしやすいです。インタビューに一貫性を持たせることが可能なため、インタビューの質がインタビュアーのスキルに左右されにくく、一定の水準を保つことができます。事前に用意した質問以上のことは聞かないため、準備が足りていない場合得られる情報が少なくなってしまう場合があります。

非構造化インタビューでは、事前にテーマだけを決めておき、質問内容などを設定せずにインタビューを行います。質問内容を定めないため、設定したテーマについてインタビュイーに自由に話してもらうことになります。自由に話してもらうことでインタビュイーからさまざまな意見を得ることができる反面、テーマから逸脱した話になったり、インタビュー内容全体がまとまりのない形になってしまったりするなどのデメリットもあります。

グループインタビュー、デプスインタビューとの関係

定性調査でよく用いられる分析手法には、複数人を相手にしたグループインタビューや、1対1で行うデプスインタビューなどがあります。それぞれとの関係を解説します。

一度に4~8人前後のインタビュイーを相手に、座談会を行うような形で自由に発言してもらうことで、インタビュイー同士の意見などを収集する調査方法のひとつです。グループインタビューにおいては、事前に用意した質問内容をもとにインタビューを進めることもできるため、半構造化インタビューとして利用することができます。しかし、半構造化インタビューとしての特性を強く意識しすぎると、グループインタビューの特性のひとつである集団心理から出る意見などを引き出しにくくなります。そのため、グループインタビューにおいて半構造化インタビューの特性を活かすためには、十分な質問内容の選別をしておく必要があります。

デプスインタビューはインタビュアーとインタビュイーが1対1でインタビューを行う調査方法のひとつです。1対1という環境を構築した上でインタビューを行うため、インタビュイーはリラックスした状態で話をしやすく、1つのテーマに対して深く掘り下げていくことができます。そのため、デプスインタビューは非構造化インタビューの一種として分類されます。

Notta文字起こしサービスを活用してインタビューを効率化

半構造化インタビューにおいては、事前に用意した質問内容だけではなく、その場で深掘りができる質問を考えていく手法のため、インタビュー時に行う事項が多くなります。インタビュー中にインタビュイーが発言した重要な点をメモすることなどは大事ですが、さまざまなことに意識が行き過ぎると、会話に集中できなくなることもあります。

Notta文字起こしサービスでは、AIが録音データをすばやく文字起こし。ZoomやGoogle Meet、Teamsなどを利用したオンラインでのインタビューであれば、話者認識機能を利用してその場で文字起こしが可能です。インタビューの記録をAIがサポートしてくれるため、会話に集中してより深く掘り下げた内容のインタビューを行えるでしょう。

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まとめ

構造化インタビューと非構造化インタビューの各特徴を兼ね備えた分析方法である半構造化インタビューを活用すれば、インタビュイーに寄り添った対話や調査したい内容を深掘りできます。

インタビュアーのスキルレベルにより成果が変化することがあるため、ほかの方が実施しているインタビュー動画や実際にインタビューしているところなどを参考にして、自身のスキルレベルを向上させていきましょう。

ぜひ半構造化インタビューによる分析方法に慣れて、より深掘りしたインタビューができるよう心がけていきましょう。

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