教員の働き方改革とは？必要性や具体的な進め方、ポイントを解説

長時間労働が問題視され、さまざまな職場で働き方改革が推進されています。しかし学校などの教育現場で働く教員の労働環境はなかなか改善されておらず、相変わらず「ブラック」な職場であることが多いのが現状です。子どもの教育にも影響を与える教員の働き方改革は、社会的に急務となっています。この記事では、教員の働き方改革の必要性や具体的な進め方のポイント、役に立つツールなどについて解説します。

教員の働き方改革とは

まず働き方改革の定義とは、厚生労働省が公表している「働き方改革～一億総活躍社会の実現に向けて」で以下のように記載されています。

“「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。”

引用：働き方改革～ 一億総活躍社会の実現に向けて ～

少子化による人口減少や働き方の多様化に企業が対応し、一人ひとりが働きやすい環境で成長・活躍できる社会を目指す取り組みです。

これを教育現場で考えてみると、時代が移り変わっても教員の仕事の流れには劇的な変化がなく、画一的な形が残っている場合が多いです。そのため休日出勤や時間外労働は問題となっているものの、なかなか改善に至りません。

この状況を変えるため、政府は2019年に「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を策定し、時間外勤務について具体的な指標を示しました。このような動きからわかるように、教員の働き方改革は未来を担う子どもたちの教育のためにも社会全体で取り組むべきものなのです。

教員の働き方改革はなぜ必要？

では、実際に教員の労働環境はどのような状況になっているのでしょうか。教員の働き方改革の必要性とともにご紹介します。

業務負荷が大きい

教員の仕事はただ授業を行うだけでなく、事務処理や学校行事、保護者対応など幅広い範囲に及びます。一人の教員が担当する業務量は相当なもので、精神的・身体的に大きな負荷を受けているのが現状です。また中学校や高校の教員は部活動の顧問を任される場合があり、放課後や休日にも指導を行うため時間外労働が常態化しています。根本的な改革を行わない限り改善は見込めないため、働き方改革が必要です。

労働時間が過労死ラインを超える場合がある

過労死ラインとは、健康障害リスクが高まるとされる時間外労働時間を指します。過労死ラインの目安は月80時間(月に20日出勤の場合、1日4時間以上の残業、12時間労働となる)です。前章で紹介したように業務量の多さや部活動・放課後の指導などにより、教員の時間外労働は過労死ラインを超えることが珍しくありません。これは過度な労働であり健康上に大きなリスクのある非常に危険な状態と言えるため、早急な改善が求められます。

教員不足につながる

近年は世間的にも教員の労働環境の過酷さが広く知られるようになったため、教員を目指す人材が激減しています。人口減少や教員免許を要するハードルの高さも相まって、全国的に教員が不足している状況です。これにより現職の教員の業務量がさらに増えるという悪循環に陥っているケースも少なくありません。教員の労働環境を改善しないことには教員不足は解消されないことからも、働き方改革が必要とされています。

学校教員の労働時間が減らない理由

ここまでご説明したように、教員の長時間労働は深刻な問題となっています。ではなぜ教員の労働時間を減らすことができないのでしょうか？

 課外活動の増加

近年特に一人ひとりの個性を伸ばす教育が重視され、部活動やイベントなど授業以外の活動が多くなっています。生徒にとっては大切なことですが、教員にとっては準備や指導など時間外労働の増加につながっていることも事実です。人手不足のため経験がない分野の指導を担当する場合もあり、大きな負担となっています。

事務作業の負担

教員の業務内容は想像以上に事務作業が多いです。たとえばテストの採点や成績処理、クラス通信や日報の作成などを授業以外の時間でこなさなければなりません。集中して作業するまとまった時間が必要なため、残業につながりがちです。

時間外労働の把握の難しさ

最近まで特給法という法律により公立学校の教員には時間外勤務に対する手当が支給されていませんでした。2021年に改定され手当の支給が認められましたが、適用は条件があり限定的です。そのため出退勤の記録を厳密に行っている環境が少なく、正確な労働時間が把握されていないケースが多いです。実際にどの程度労働しているかが見えにくいことにより、長時間労働につながりやすい傾向があります。

長時間労働の影響

教員の長時間労働は問題として認識されているものの、現状は改善されているとは言えません。長時間労働を続けることにより、どのような影響が考えられるでしょうか。

健康被害

長時間労働が続くことで、心身ともに多大なストレスを受け健康被害につながります。実際に教員が過労死する事件も多数起きており、深刻な問題です。精神疾患者も増加傾向にあり、ケアが求められています。

教育への影響

教員の心身が疲弊していると、良い授業が行えずに生徒にも悪影響を及ぼします。またIT技術の進化などにより教育のあり方も大きく変化しており、教員には時代に合わせた教育が求められます。しかし現在の業務に手一杯で最新の情報をキャッチアップできず、適切な教育が行えないという問題もあります。

人材獲得への影響

人手不足によりあらゆる業界が人材獲得に苦労しています。売り手市場の今、あえて労働時間の長い教育現場への就職を選ぶ人は少ないでしょう。教員の人材不足は深刻な問題であり、さらなる長時間労働を助長しています。

教員の働き方を進める上でのポイント

現状難しい状況にある教員の働き方改革を進めるにはどうしたら良いのでしょうか。いくつかのポイントを押さえる必要があるので、具体的に紹介します。

正確に労働時間を把握する

まずは教員の正確な労働時間を職場全体で把握しましょう。勤怠管理システムを導入することで、ツールによって客観的に出退勤を記録できます。教員それぞれの労働時間が可視化されることにより、管理者が状況を把握して当事者へアドバイスや業務の振り分けなどができるようになります。職場全体で長時間労働を防ぐことにつながるでしょう。

業務を減らす・効率化する

業務量の多さが長時間労働へつながっているため、業務そのものを減らす、もしくはなるべく効率化しましょう。「昔からやっているから」という理由で何となく続けている業務を見直し、無駄と思われるものは思い切ってやめるのも一つの手段です。また手作業で行っている作業はツールを使用して自動化するなど、なるべく短時間で行うようにします。

業務体制を見直す

教員一人が担当する業務範囲が広すぎるために過酷な労働環境に陥っている場合があります。管理者は人員配置を見直したり、一人ひとりにヒアリングしたりなど、業務体制を見直して改善することが大切です。

教員以外の指導員を採用する

教員以外の外部の人材を採用し、指導を依頼することも有効な手段です。たとえば部活動において専門的なスキルを持つ人材を採用すれば、指導のレベルも上がり教員の負担も削減できます。また事務を担当する職員を採用すれば、教員でなくても行える事務作業をまとめて依頼できます。教員がほかの業務の傍らで事務作業をこなすよりも、専門の人材が行うほうがミスも減り効率的です。教員は本来の教育業務に集中できます。

働き方改革のおすすめなツール–Notta

教員の業務を効率化するためにおすすめなツールがNottaです。Nottaは音声をインポートすることで、自動で精度の高い文字起こしを行います。たとえば成績表の記入やクラス通信、日報などの作成はキーボードでタイピングする必要なく、スマホやPCに対して音声を吹き込むだけで即座にテキスト化します。煩わしい事務作業の時間を大幅に短縮できるでしょう。

また授業の音声を録音しておき、あとからNottaにインポートすることで授業内容をテキスト化できます。テキストを見直したり、生徒の疑問や発言を記録したりして次の授業の改善に活かすことも可能です。

教員の働き方改革には、無駄な作業を効率化することが非常に重要です。Nottaを活用して事務作業の時間を削減したり授業の品質向上につなげたりして、貴重な時間を有意義に使いましょう。

まとめ

教員の労働環境は業務量の多さによる長時間労働が大きな問題とされています。習慣として受け継がれている面もあるためなかなか改善が進んでおらず、健康被害や過労死などの最悪のケースも起こってしまっています。このことから働き方改革は急務とされているのです。

教員の働き方改革を実現するには、まずは現状の労働時間や業務体制を見直し、業務を削減したり効率化したりすることが欠かせません。手作業をやめて、業務を効率化するツールを導入することも有効な手段の一つです。ぜひ働き方改革の第一歩として、Nottaを活用して業務の効率化に取り組んでみてはいかがでしょうか。